はじめに
安全なLARP武器って?
LARPが広まりつつあり、そのための武器を扱うお店も複数出てきました。しかしながら、安全なLARP武器とは?どのようなものが初心者向けなの?といった疑問も増えていることでしょう。ここでは、簡単な物理学的な要素をもとに、LARP武器の安全性を紐解いていきます。なお、筆者は物理学の専門家ではありませんので、ここで用いる物理モデルはかなり簡略化したものです。また、武器の安全基準は団体によって異なります。どこでもOKが出ることは保証できません。予めご了承ください。
どんな人向けの記事?
新しくLARP武器を買いたい人。LARP武器の安全基準を考えたい団体。LARP武器を作りたい人など。
LARP武器とは
まず、LARP武器とはどのようなものでしょうか。LARP武器は硬質な芯材を、柔らかいスポンジ状の素材で包み込んで作られる模造武器です。投擲用など、芯材が無い武器もあります。本物の武器よりも軽量で、緩衝材があるため、実際に叩き合う様な戦闘に用いても怪我をしないようになっています。
LARP武器の物理的要素
速さ
最初に、武器を振る速さについて考えてみましょう。速さは武器の使用者がコントロールできる唯一の要素です。同じ条件の武器でも、ゆっくり振れば安全で、速く振れば危険になります。同じ野球ボールを投げつけられるところを想像してみるといいかもしれません。ゆっくりぽわんと投げられれば痛くないですが、プロ野球選手の投球を受けたらどうなることでしょう。
重さと重心
武器の重さはその扱いやすさと安全性に直接的に関わります。軽いほど安全で、重いほど危険です。同じ大きさの鉄の玉と木の玉を同じスピードでぶつけることを想像するとわかりやすいでしょう。また、軽いほど武器の制御がしやすくなりますので、初心者向けと言えます。一方、重心も重さと関わりがあります。重心が持ち手に近いほど、武器が軽いのと同じような効果が得られるでしょう。逆に遠ければ、重いのと同様です。
長さ
長さは、武器の全長と言っていいでしょう。厳密には、握っている部分からターゲットに触れる部分までの長さが重要です。既成品のカタログにも載っている値ですので、武器を選ぶ指標の大切な一つと言えるでしょう。結論から言えば、長さは短いほど安全になり、長いほど危険になります。長さは、直接的には安全性には関わりません。しかし、長くなるほど重く、重心が遠く、切っ先の速さは速くなります。短い方が初心者向けと言えるでしょう。しかしながら、短すぎると戦術的には不利になるため、躍起になって振り回してしまうなどという事態も考えられます。また、短すぎると直接的な体の接触が起きやすいのは留意が必要です。
緩衝材の柔らかさと厚さ
LARP武器には基本的にフォームと呼ばれる柔らかい緩衝材が使われています。簡単に言えばスポンジです。パディングと呼ばれることもあります。緩衝材は柔らかいほどより多くの衝撃を吸収できるので安全になります。ただし、より深く沈み込むようになるため、柔らかいほど十分な厚さが必要になります。緩衝材の柔らかさは数値化が難しいようで、その判断も感覚的なものになりがちです。
その他の安全性
他にも、表面の滑らかさと破損のしにくさ、破損したときの安全性も大切です。表面が荒かったり、尖っていたりするとかすった際に怪我をする恐れがあります。絶対に壊れない武器はありませんが、かといってすぐに壊れてしまうようでは困りますから、耐久性も重要です。万が一壊れても、深刻な怪我に繋がらないようになっている必要もあります。流通している市販品では、これらはしっかりと考慮されているものが多いでしょう。
まとめ
すべてまとめると、ゆっくり振って、軽く、重心が近く、パディングが柔らかくて厚く、短い武器が安全ということになります。しかしながら、全てを安全な方向にしなければいけないわけではありません。それぞれの要素が補完しあえるのです。ですから、長い武器が使いたければ重心を近くにする。細い武器が使いたければ軽くするなど、それぞれ要素のバランスを取ることが大切です。